top of page

超短編小説 「健康」


ree

 男は朝食のトーストをかじりながら、自分が健康になったことを知った。突然だった。昨日までの鈍い痛みも、重たいまぶたも、すっかり消えている。歯は滑らかに噛み合い、胃は何ひとつ文句を言わない。完璧な健康。

 しかし、奇妙なことに、男の指先はわずかに透けていた。最初は気のせいかと思ったが、時間が経つにつれ、それは肘へ、肩へと広がっていく。健康が満ちるほどに、体は薄れていった。

 洗面台の鏡を覗くと、男の顔はぼんやりと滲み、ガラスの向こう側に漂う影のようだった。健康とは、肉体の存在と引き換えに得られるものなのか?

 昼になる頃には、男の姿は完全に消えていた。皿の上には、かじりかけのトーストだけが残されていた。

コメント


20250213_rogo_yoko.png
  • Instagram
  • フェイスブック
  • Youtube

想像の先にあるものを、
静かに、確かに、かたちにしていく。

 

マッタ創作所は、ただ見せるものをつくるのではなく、
想いをすくいあげ、言葉と映像にのせて、
世界に届く“メッセージ”へと変換します。

 

創るということは、
人生そのものを編み直すような行為。

 

その表現が誰かの心に触れたとき、
まだ見ぬ物語が、そっと動きはじめる。

​​

事業内容

​​

・Webディレクション
・Webデザイン
・グラフィックデザイン
・企画
・ムービーディレクション
・映像制作
・動画編集
・動画撮影
・写真撮影
・プロジェクションマッピング
・2D,3Dアニメーション

・​ブランディング

・マーケティング

・AI活用

​・SNS運用代行

・ドローン撮影

Copyritght (C) 2025. mattasosakujo All Rights Reserved.

bottom of page