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超短編小説 「加湿器」



部屋の隅に置かれた白い加湿器が、静かに蒸気を吐き出している。まるで何かを諦めたように、一定のリズムで。湿った空気が壁をなぞり、乾燥した冬の夜にしみ込んでいく。

加湿器の音を聞いていると、ふと、自分が水蒸気になったような気がした。形もなく、誰にも触れられず、ただ漂う存在。いつの間にか、壁のシミと一体化してしまうのではないか。

水が尽きるまでの時間を、時計が秒針で刻んでいく。まるで僕の体の中の水分が、加湿器とともに消えていくようだった。乾いた喉が、その証拠を示している。

朝になれば、タンクは空になる。誰かが新しい水を注ぐまで、加湿器は沈黙する。それは、僕と同じだ。誰かが僕に声をかけるまで、僕もまた、静かにそこにいる。

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