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超短編小説 「幸福」



男は、幸福を飼うことにした。

最初に見つけたのは、街角の植え込みだった。小さな塊で、震えていた。男はそっと拾い上げ、ポケットに入れた。幸福は軽かった。


家に帰り、テーブルの上に置くと、幸福はじっとこちらを見つめていた。何も言わないが、そこにいるだけで部屋の空気が変わるようだった。


男は幸福の世話をした。朝は窓辺に置き、陽の光を浴びせた。夜は布の切れ端をかけ、そっと寝かせた。幸福は何も食べなかったが、日に日に大きくなった。


ある日、幸福は突然いなくなった。探してもどこにもいない。ただ、幸福がいた場所には、小さな影だけが残っていた。


男はその影を拾い上げ、そっとポケットに入れた。幸福は、まだそこにいる気がした。

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