物語
── 創造とは、祈りであり、問いかけだった。
私は幼い頃から、“つくること”が生活の中にあった。
ジュエリーデザイナーの両親、大工だった祖父。
手を動かし、形を生み出す人たちの姿は、私にとって生きることそのもののように映っていた。
だからごく自然に、「自分も、なにかを創る人になる」と思っていた。
しかし、その道はまっすぐではなかった。
写真家に憧れながらも、手に届く道具がなく、代わりに絵を描いた。
成長するにつれ、「才能がなければ、アーティストにはなれない」という空気に押され、
悩みながらも「センスは磨ける」と信じて、デザインの世界に足を踏み入れた。
学校は合わず中退したが、創ることへの情熱だけは消えなかった。
転機は、VJという表現との出会い。
音と光が交差する即興の世界。
そこにある“時間を孕んだ表現”に、私は心を奪われた。
映像制作会社やWeb制作会社で経験を積み、
2016年に独立。マッタ創作所を立ち上げた。
創ることは、自己表現ではなく、対話だと思っている。
誰かの声にならない想いに寄り添い、
ときに言葉では届かないものを、形にすること。
私にとって創造とは、
「それは本当に意味があるか?」という問いに向き合い続ける行為。
流行や派手さではなく、
“ローカル”に宿る小さな確かさを、丁寧に世界へと手渡していくこと。
誰かのために、というより、
創らずにはいられないから、創る。
それが私という存在の根にある衝動だ。
表現を通して、自分という人生を創造し、体験している。
その創造が、やがて他者と響き合い、
未来へと連なる新たな風景を生み出すと、私は信じている。
今日も静かに、創造の種を蒔き続けている。
見えないところで芽吹くその瞬間を、信じながら。