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亡くなった人は、本当に消えるのか。

執筆者の写真: Takahito Matsuda
Takahito Matsuda
3月12日
読了時間: 3分

夜の部屋は静かだった。

時計の秒針の音だけが、やけに大きく聞こえる。


大切な人が亡くなってから、この静けさが少し怖くなった。

あんなに賑やかだった家なのに。

今は、思い出だけが残っている。


ふと、懐かしい香りがした。

思わず顔を上げる。


この香りは知っている。

忘れるはずがない。

あの人が、いつも使っていた香りだ。


まさか。


そう思いながらも、胸が少し温かくなる。

それは、あの日から何度か起きている不思議な出来事だった。


ある日は、時計を見た瞬間に目を疑った。

並んでいた数字は、あの人の誕生日だった。


偶然かもしれない。

でも、その数字を見ると胸の奥が少しだけ軽くなる。


そしてある夜、夢の中で再会した。

何年ぶりだろう。


そこには、いつもと同じ笑顔があった。


元気にしてる。


たったそれだけの言葉だった。

でも、その声を聞いた瞬間、涙が止まらなかった。


夢から覚めたあとも、その温もりは消えなかった。


目を閉じると、あの日々が浮かぶ。

一緒に笑ったこと。

何気ない会話。

くだらないことで笑い合った時間。


あの時は、そんな日常が永遠に続くと思っていた。


ある日、部屋の電気が突然チカチカと点滅した。

壊れたのかと思った。

でも、次の日には何事もなかったように普通に戻っていた。


その時、ふと感じた。


もしかして。


そばにいるよ。


そんな気がした。

理由なんてない。

でも、確かに感じた。


それからというもの、時々不思議なことが起きる。


懐かしい香り。

夢の中での再会。

偶然とは思えない数字。


そして何より、理由のない安心感。


ある日、落ち込んで家に帰った夜。

胸が押しつぶされそうなほど苦しくて、誰にも言えない思いを抱えていた。


その時だった。


突然、胸の奥がじんわり温かくなった。

まるで誰かが背中をそっと包んでくれるような感覚だった。


大丈夫だよ。


そんな言葉が聞こえた気がした。


気のせいかもしれない。

思い込みかもしれない。


でも、その瞬間、確かに涙が溢れた。


人は亡くなると、本当に消えてしまうのだろうか。

それとも形を変えてそばにいるのだろうか。


答えはきっと誰にも分からない。


でも一つだけ確かなことがある。


大切な人を思い出したその瞬間、その人はまたあなたの中で生きる。


声を思い出す。

笑顔を思い出す。

温もりを思い出す。


その度に、その人はあなたの心の中で確かに存在している。


だからきっと。


大切な人は、完全には消えない。


思い出すたびに。

感謝するたびに。

その人はまた、あなたの中で生きる。


もしかすると今も、あなたのすぐ隣で静かに微笑んでいるのかもしれない。


だからもし、ふと懐かしい香りがしたら。

夢の中で再会したら。

理由のない安心感に包まれたら。


その時は、こう言ってみてほしい。


ありがとう。


きっとその言葉は、光になって届くから。

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