大洪水と文明の分岐点
- Takahito Matsuda
- 7月14日
- 読了時間: 2分

約4000~5000年前、世界各地に「大洪水」の神話や伝承が残されています。
メソポタミア文明(現在のイラク周辺)では、ウルの遺跡から紀元前2900年ごろの大洪水の痕跡が見つかっており、これが「ギルガメシュ叙事詩」に描かれた洪水の元となったと考えられています。また、旧約聖書に記されるノアの箱舟の物語も、この時期と重なるとされ、紀元前2500〜2300年ごろの出来事と推定されています。
つまりこの時代、人類は大規模な自然変動を経験し、それを神話として語り継いできたのです。
一方で、同じ時期に日本列島では、縄文文化が深まりを見せていました。縄文中期から後期にかけて(紀元前3000年前後)、狩猟・採集・漁労を基盤としながらも、自然と共に生き、祈りや感謝の精神を大切にした独自の文化が花開いていたのです。
このようにして、世界が「大洪水」によって大きな転換期を迎えたとき、 西アジアでは物質文明が台頭し、道具・技術・支配構造を中心とした社会が形成されていきました。それはやがて、物質の蓄積と拡大を極め、内側からの崩壊へと向かっていく流れを持っていました。
一方で、古代ユダヤを起点に広がっていった精神的価値観は、東へと伝わり、やがて日本の縄文文化へと合流していきます。祈り、感謝、自然との調和、そして目に見えないものを大切にする暮らし。その精神は、今も私たちの奥深くに残されています。
つまり、大洪水の後、地球全体は大きな分岐点を迎えました。 物質を選ぶか、精神を選ぶか。 それは、文明というよりも、人としての在り方の選択だったのかもしれません。
そしていま再び、私たちはその分かれ道に立っているのかもしれません。
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